目的意識2

人はかならず死ぬ、ならば人とは何なのか
今ではめちゃくちゃとも思う疑問も恐怖に混乱した頭では繋がっていた


納得いくものは無かった
今思うと、それはただ時間が足りず、知識の深さが足りなかったように思う
もしかしたらそれもあってかもしれないが、哲学に非常に興味があり、面白いと思ってはいたが、自分が哲学を生業にするつもりにはなれなかった
そのわりに経験主義より理論主義だったのは、自分の経験が浅い事を自覚している故の自己弁護だったのだろう
実際、哲学が机上の空論であるという感覚も抱いていたことも確かだ(今はそうは思わないが
そういうこともあってか、実際に人に触れて追究していきたいという思いが明確になっていった
人の死に触れられる職である医師を目指すに至った
時に、ならば生物学でいいのではないかと自問することもあったが、やはり人を対象にした医学により強く惹かれた
さらに医学部においては、人体解剖を通して、人の解剖を学ぶに加えて、解剖が進むにつれて自分の意識と共に人体が臓器に分けられていく様子を見、感じた
病理、病態が生理を照らしだすことを知り、実感した
現代医学の限界を知った
一方でQOLという概念を知り、重要なものだと感じた
医師とは長生きさせると同時に、その生命の質というものを高めるべきものであると感じた
そういう意味で、着実に診療行為を行うと同時に、生を全うする手助けをしつつ、いずれ必ず来る生の完了たる死を患者さんと共に見つめられるような医師に、私はなりたい